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自分の天職との出逢いと飲食店経営者になるまでの道のり

 2024/06/26
STORY

私は、2016年5月から約10ヶ月間、福岡市中央区中洲で飲食店を経営していました。

え?10年間ではなくて10カ月間?

と思われた方もいらっしゃるでしょう。今回はなぜ飲食店を経営するに至ったか、そしてなぜ10ヶ月間という短い期間だけ経営していたのか、包み隠さずにお話しようと思います。

ブログは数本に分けて書いていきます。今回は、お勤め時代から独立開業に至るまでのお話しです。

お勤め人から自営業者への道のり

私は2015年に独立開業するまで、16年間飲食業界に勤めていていました。最初に就職した会社が飲食業界だったので、その流れで後々転職した先も飲食業界だったのですが、実は特に飲食業界に興味があったわけではありませんでした。

勤め時代に私が一番気に入っており、自分にとって天職だと感じていたことは接客でした。

大好きな接客業から運営管理業へ

接客業はただ注文を聞き、お料理を運び、会計をするだけではありません。

お客様が何を望んでいるのかを先読みし、言われる前にサービスをする。頻繁にテーブルに来て欲しいタイプのお客様、逆に店員にはあまりテーブルに近づいて欲しくないお客様、様々なお客様の様々なご要望を正確に読み取り、お客様に期待値以上の満足感を得ていただくことに、大きなやりがいを感じていました。

やがて、いちホールスタッフだった私は店長マネージャーとポジションが変わり、それに伴い自分の役割も変わってきました。

それまでは、自分が先頭に立ってお客様に接客をし、自分自身がお客様からお褒めの言葉をいただいていたのですが、店長職に就いた時、私の役割は「接客」ではなく「店の運営管理」へと変わりました。その中でも私が特に力を注いだことは人材育成でした。

スタッフ達にとって社会に出る前の学びの場にするために

ほとんどのスタッフが学生アルバイトでまだ社会に出る前の若者ばかり。そのスタッフ達に、働いて報酬を得る重み、立ち振る舞い、正しい言葉遣いなど社会人に必要なスキルや考え方等を根気よく丁寧に指導していきます。

規模の大きなお店では30名近いスタッフを抱え運営をしていたので、今思い返してもそれは大変な忙しさでした。

しかし、初めてのアルバイトで右も左も分からず不安気に働いていたスタッフが笑顔でイキイキと働けるようになったり、かけもちで働いているスタッフから、私から教わったことがかけもち先の職場でとても役に立っている、と言われるととても嬉しく、人を育てることへの醍醐味をかみしめる日々でした。

独立開業を目標に

そんな日々の中で、私が心に決めていたことがありました。それは業種は決めていないが、35歳で独立開業をすることです。

今振り返ってもなんて漠然とした目標なんだ、と笑ってしまいますが、当時の私は何の業種で独立するかより、いつまでに独立するかを決めておく方が、自分のモチベーションが保てると考えていました。

やがて、私の中に一番大切にしたいこと、どこへ行っても何をしてもなくてはならないことが明確になりました。それは「人材育成」です。

優秀だけれど無礼な人間と、不器用だけれども人間味があり誠実に接してくれる人間。同じ商品だったらどちらから買うかというと、恐らく後者を選ぶ方が多いことでしょう。

企業に利益をもたらすのは商品ではない、人間だと確信していた私は、人を育てる仕事で独立開業しようと決めました。

目標に向けての準備スタート

その後は、様々な外食業界のジャンルで必要な接客マナーや人材育成を学ぶため、フレンチ、カフェ、ホテル、百貨店などでの接客業を経験しました。イタリアンレストランを運営している会社では、新入社員教育も担当させていただきました。

そして目標の35歳になる年、飲食店スタッフ教育専門のコンサルタントとして独立開業を果たしたのです。

とは言え、開業したからといってすぐにクライアント様を獲得できるほど世間は甘くありません。収入の不安があった私は、1年間勤め先と自営業を同時進行できないか考えました。

2足のわらじの日々

最後のお勤め先と決めていた会社では、丸3年の月日が経っていました。

私は、上司に以前からの目標だった独立開業を果たした旨を正直に伝え、自営も行いながらあと1年間会社に所属させてもらえないか、相談しました。

私の役割の業務を怠ることなく営業利益等も死守することを条件に、自営を行いながら勤めも継続することに了承をもらうことができました。

さて、そこから2足のわらじ生活がスタートです。

当時勤めていた会社も外食業界だっため、週末や大型連休は全て出勤、また勤務時間も10時から22時まで。勤め先に出勤する日は自営の方に手を付ける余裕はありません。

また、業績低下を防ぐために様々なイベント発信やメニュー入れ替えなどを滞ることなく取り組み続ける必要があります。そしてその間にも、新たなスタッフの採用・教育等・お店の営業をしながら、対応しなければならない仕事が満載でした。

自営の方は、勤め先の休日が取りやすい平日に一気に進めます。当時は、今のようにSNS発信等がまだ大きく普及しておりませんでした。どうやって集客をしようと考え、選んだ策はポスティング

自分で作成したチラシを大量に抱え、様々な飲食店に足を使って配り回りました。

地道なポスティングの甲斐もあり

自営活動にあまり時間が割けない中、コツコツとチラシを配り続けると、1件、2件と少しずつ問い合わせをいただけるようになりました。

問い合せをくださったお店の中には、最初の無料面談のみのお店ももちろんありましたが、スタッフの教育をお任せしてくださるお店、お店全体のコンサルもして欲しいとご依頼いただくお店もありました。

そんな中、ある問題が…

自分の実績を持って初めて人様に寄り添える

1件1件対応させていただいている内に、お店のオーナーからこのようなお声をいただくことが多々ありました。

「先生は、自分で店を経営したことはあるんですか?」

「自分でも店舗を運営しているんですか?」

私が経営の経験はないことを伝えると、必ずこんな言葉が返ってきていました。

「じゃあ、身銭を切って店を経営しているオーナーの気持ちなんか分からないよな」

「自分で経営している店が成功していないといくらコンサルされても説得力がないなあ」

私はその言葉を受けて、返す言葉が見つかりませんでした。

店舗経営のチャレンジを決意

様々な想いが自分の中を駆け巡る中、考えに考え決意したことがありました。それは、

自分でも飲食店を経営すること。そして自分のお店を軌道に乗せ、私がご提供するサービスのモデル店にすること。

飲食店の経営を自身の事業に加えることを決意した私ですが、その当時はまだ勤め先にも所属していたこともあり、飲食店の経営をすぐに取り入れることは到底無理なことでした。

勤め先の仕事も最後まで責任をもってやり遂げると決めていた私は、新たな目標を設定しました。

勤め先の退職日を決定し、退職日翌日から自身の飲食店事業に取り組む。それまでは目の前の役割を全力でこなす。

明確な目標を設定した私は、勤め先の仕事、自営の仕事に対するモチベーションがどんどん上がっていったことを覚えています。

次回は、いよいよ勤め時代とのお別れと完全自営業への挑戦のお話しです。お楽しみに!
 WRITER
  • 廣田 左希子
  • 廣田 左希子SAKIKO HIROTA
  • 日本実務能力開発協会 認定コーチ
    資格第COY-Ⅰ-221081号
  • 上級心理カウンセラー資格
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