HOMEBLOG > 山あり谷ありの人生。楽しいことも絶望も経験したダイニングバー・IVY

山あり谷ありの人生。楽しいことも絶望も経験したダイニングバー・IVY

 2024/07/24
ストーリー

私が会社員時代から飲食店経営者になるまでの歴史を、全3話に渡りご紹介しています。今回は、短期間ながらも営業させていただいていた我が店「ダイニングバーIVY」で、特に思い出に残っているお客様のエピソードや、新規お客様獲得の奮闘、そして経営者の厳しさ等をお伝えしたいと思います。

私の飲食店経営エピソードブログの最終回です。どうぞ、最後までお楽しみいただけましたら大変嬉しく思います。

特に思い出に残っているお客様のエピソード

念願の自店、「IVY」のレセプションパーティも無事終わり、通常営業がスタートしました。当時、InstagramなどのSNS発信はまだ主流ではなく、Facebookを使ったお知らせや、チラシ配布などでIVYを地道に告知していくしかなく、軌道に乗るまでは厳しい道のりだと認識していました。

また、IVYの場所が路面ではなく6階建てのビルの5階ということもあり、道行く人たちをどうやって5階まで上げるのかが、集客状況を大きく左右するカギとなりました。

オープン当初は知人や友人がお祝いにかけつけてくれますが、いつまでも友人知人に期待するわけにはいきません。初めてのお客様を一人でも多く獲得し、お気に入りのお店のひとつにしていただけるよう頑張ろう!

私は不安の中にも楽しみとワクワクを感じていました。

人生の節目のタイミングにIVYを選んでくださった

当時所属していた異業種交流会でご縁をいただいた方が後輩を紹介してくれ、IVYにご来店されました。

その方はIVYをとても気に入ってくださり、私にこんなリクエストを出してくださいました。

「実は、近々彼女に結婚を申し込もうと思っているんです。このお店の雰囲気も気に入りましたし、ママさんの気遣いも素晴らしいのでこのお店でのプロポーズサプライズを手伝ってもらえませんか?」

IVYを気に入ってくださったことはもちろん、大切な人生の節目にIVYを選んでくださったことは、私にとって大きな喜びでした。

「もちろん、大切なプロポーズサプライズ、全力でお手伝いさせていただきます!」

それからはお客様と綿密な打ち合わせを何度も行い、ドキドキのプロポーズ当日を迎えました。

結果は大成功!

幸せいっぱいのお二人の姿を見て、お二人の人生にIVYが携わることができたこと、私がお手伝いしたサプライズがお二人の一生の思い出に残るものになれたことに感謝しかありませんでした。

博多に来る楽しみ

次にご紹介するお客様は、お仕事で初めて博多に来られたという男性のお客様。

中洲界隈をぶらぶらしていたところ、ビル下に設置していたIVYの紹介黒板をご覧になり、入店してくださいました。

「賑やかな居酒屋が多いイメージだった博多に、こんな落ち着いた良い雰囲気のバーがあるなんて!しかもリバーサイドでキャナルシティのネオンを眺めることができて、最高ですね」

とても喜んでくださり、土産話に博多の話しを色々聞かせてください、と私にも飲み物をご馳走してくださいました。

そのお客様からは、「博多に来たら必ず寄ります。博多に来る楽しみがひとつ増えました」と嬉しいお言葉を残してくださいました。

IVYをたくさんの方の思い出の場に

その後は、結婚式の二次会、三次会の会場に使っていただいたり、女子会やママさん会などでランチ使いのリクエストをいただいたり、婚活パーティーなどのイベント会場として使っていただいたりと、通常営業に加えたくさんの方々の様々なご要望に可能な限りお応えしていきました。

たくさんの方々の人生の一部にIVYを加えていただけることに感謝し、慌ただしいながらも楽しく充実した日々を過ごしていきました。

突然やってきた終わり

IVYの営業を初めて8ヶ月。常連さんもようやく少しずつ付きはじめ、軌道に乗りかけてきた時でした。

「次の借り手が見つかったから、2ヶ月以内に場所を空けるように」

ある日突然、店舗の土地の持ち主からそう言われたのです。

もちろん、賃貸借契約書上では長期で賃貸できる契約が記載されていましたし、突然の退去命令は全くの想定外です。

実は、契約時に大きな落とし穴があり、当時まだ未熟だった私はその落とし穴に気付かず賃貸借契約を結んでしまっていたのです。

全ての設備を泣く泣く手放す

どのような落とし穴だったのか詳細は割愛しますが、その落とし穴に気が付いていれば、当然最初から賃貸借契約はしなかったというレベルの内容でした。

私は、IVYを気に入って通ってくださっていたお客様方に、閉店しなければいけなくなった旨をお伝えしました。

増築工事をした厨房やバーカウンターなど、全ての設備を泣く泣く手放し、わずか10ヶ月間という短い飲食店経営を終えたのです。残ったものは多額の支払いでした。

これから私はどう生きていけばよいのか

お金も時間も決意も全てを注ぎ込み立ち上げた自分のお店。

IVYを成功のモデル店舗へと育て、飲食店コンサルタントの仕事にも活かそうと目標を掲げ進みだした矢先に、店舗ごと回収されてしまう事態になってしまいました。

しばらくはIVYの営業に力を注ぐつもりだったので、コンサルタントの仕事は新規の営業を控えていました。お店の営業もできなくなり、コンサルタントの仕事も無くて収入の柱を完全に失ってしまった私は、絶望の淵に立たされました。

店舗で発生した様々な費用の請求は月ズレでやってきます。

収入が無いのに大きな支払いが多数押し寄せ、私は完全に手も足も出ない状況に陥ってしまったのです。

どうしてこんなことになってしまったのか。

仕事もお金も自信も信頼も失い、これからどう生きていけばよいのか。

お金が無いのに生きているだけでお金が掛かる。

私は初めて自分自身の運命と深く向き合い、この状況は自分にとってどんな意味を持っているのか、なぜこんな状況になったのか、これから私はどう生きていけばよいのか、自分が抱えている使命は何なのか。

今まで考えたこともなかった自分自身の生き方、在り方に関して真剣に向き合うことになったのです。

コーチングとの出逢い

絶望の淵に立ちながら自分自身の使命や在り方、生き方を深く考えること数ヶ月。私はあるものに出逢いました。

それが、生涯関わっていきたいと思い、現在取り組んでいる「コーチング」でした。

コーチングを学んだことで、自分が持っている思考は現実化することや、現実をどう捉えるか、自分自身の在り方をどうするかなど、今まで考えたことも思い付きもしなかったことを初めて知ることができました。

IVYを回収されてしまったことをどう捉えるか、そもそもなぜそのような状況になったのか、なぜ自分自身の身に起きたのか、全て理由があり現実になったことに気付いたことで、私は気持ちを完全に切り替え力強く生きていく決意を持つことができたのです。

感謝の気持ちと共に

会社員時代からあたためてきた独立開業という夢。

予想外の大きな挫折はありましたが、自分の中でそれは失敗ではなく経験を積んだと捉えています。

飲食店経営者になるという大きな夢は、たくさんの方々の応援と協力をいただき現実のものにすることができました。

短い間でしたが、IVYを気に入って来店してくださった多くのお客様、人生の大切な節目に携わらせてくださったお客様、その他たくさんの方々の笑顔を大切な思い出とし、感謝の気持ちを忘れることなく日々過ごしています。

3話に渡りご紹介してきました、会社員時代から経営者になるまでの道のり。

一時は絶望の淵に立った経験もしましたが、人生山あり谷ありだからこそ、生きていて楽しいんだと感じています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
 WRITER
  • 廣田 左希子
  • 廣田 左希子SAKIKO HIROTA
  • 日本実務能力開発協会 認定コーチ
    資格第COY-Ⅰ-221081号
  • 上級心理カウンセラー資格
コーチ紹介