＜ひとりごとコラム＞相手に伝えることの難しさ

今回の書籍は、私が現在に至るまで、特にどうしてコーチとして生きていこうと決めたのかを語らせていただく内容なので、自分の今までの人生の歩みを正直に話す必要がありました。
少しでも嘘の話しをしてしまうと、現在に至るまでのつじつまが合わなくなるからです。
さて、私の歴史はnoteのマガジンに投稿している「メンタルコーチさき先生のHistory」に赤裸々にご紹介しているのですが、決して穏やかではない人生を送っています。
先ず、私の母がある意味とても教育熱心で、自分が準備したレールに我が子を乗せることに一生懸命になっている女性だったので、とにかく抑圧されて育てられました。
「お母さんが認めたことしかさせない」を強く握りしめている人でした。
幼少期から小学校低学年の時期は、人の思考や人格が形成される大切な時期。
そんな時期に、「これをしなさい」「これを食べなさい」「それはやめなさい」を日常的に言われていたので、私の中にはいつしか「自分の希望は伝えても無駄なんだ、言ってはいけないんだ」との信念が出来てしまいました。
その信念はとても根深いもので、後に私は一度会社を倒産させる事態に陥ってしまたのですが、その根本原因を深堀りしていくと、自分が持っている思考・信念が強く影響していたのです。

そんなこともあり、私の今までの人生で起きたことを隠さず正直に伝える必要があったのですが、特に母に関する話しの部分は、伝え方がとても難しかったです。
決して母を恨んでいるわけでも、悪く言うつもりもありません。
ただ、自分が母の元で暮らしていた間ずっと、我が家は他の家庭とは違う違和感を強く感じていたこと、二十歳になってから実家を出て、色々自分で選択はしてきたものの、常に母の存在が気になっていたこと、会社を倒産させたことなどの根本原因を、コーチングを通じて深堀りしていった時、幼少期から長年刷り込まれてきた思考・信念が影響していた、だから私はコーチングを通して思考・信念の書き換えをしたんですということを正直にお話しする必要があったのです。

インタビュアーの方とは、１時間ほど電話で対談したのですが終始穏やかにインタビューは進み、私からも「決して母を責めているわけでも恨んでいるわけでもありません」とお伝えはしたものの、さて・・・私の話しを文字で見ただけのライターさんは、私にどんな印象を受けどんな表現をしてくれるのでしょうか・・・？


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期待半分、怖さ半分で待つこと約１ヵ月。
いよいよ１回目の原稿が届きました。
それを読んで、私は胸が苦しくなりました。
確かに、私がお話しした内容と大きな間違いはありません。
でも、セリフの言い回しや語彙など、読んでいてとても不快になる表現がふんだんに使われていたのです。
私は、呼吸が苦しくなるのを耐えながら最後まで読みました。
何ということでしょう。
私はこんなに不快になる話しを、インタビュアーの方にしてしまっていたのか・・・
もちろん、インタビュアーの方とは肉声で会話をしているので、声のトーンなどで多少重たい話しも明るく伝えることができます。
しかし、それを文字だけで読み取ったライターの方は、強く母親を恨んでいる娘と捉えたのです。
これは、ライターさんが悪いわけではなく、きっと私自身にも当てはまることです。
例えば、全く面識がない方が書いた自伝。
それを読んだ時、自分の中で面識のないその人に対し、「性格・口調・思考」などをイメージ付けているのかも知れません。