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不妊治療記録⑫ 信じられないスピードで老化する卵子 報われない想い

 2021/05/12
不妊治療

不妊に悩む方の精神的・身体的ストレスはとても大きく、また周囲には相談し難いものです。
女性専門の相談室【CuoRelease】では、不妊にまつわるご相談を多くお受けしております。
ご相談をお受けする私自身も不妊治療経験者であり、お力になれることが必ずございます。
不安なお気持ちをお話しされるだけでも心が楽になり、前向きになれます。
ホームページにお問合せフォームがございますので、そちらからお気軽にお問合せください。

妊娠しない辛さと流産する辛さ

2度目の採卵に向けての準備が始まりました。
点鼻薬、飲み薬、自己注射と、卵子を育てるための準備をもくもくと続けます。
その1ヶ月前、つわりまでしっかりと感じていた妊娠8週目の我が子を流産してしまう辛い経験をしましたが、我が子をどうしても授かりたい思いが強く、その思いが私を突き動かしていました。
稽留流産の手術を終えた後、私は今後も不妊治療を続けるのかとても迷っていました。
赤ちゃんの心拍が聞こえない、と先生から言われた時に自分の心臓が身体の真下にどーんと落ちてしまったような感覚、赤ちゃんの心拍を測る心電図の線が少しも動かず、真っすぐな線が出続けたモニターを見た時の絶望感。
妊娠したことを、家族や親しい友人以外には告げていなかったので、当然流産したことも言えません。
そのため外では普段通りにふるまう必要があり、辛い胸の内を話すことも出来ず一人で涙を流していた日々。
「妊娠してもまた流産をしてしまうかも知れない・・・」との不安がどうしても消えず、恐怖感に支配されていました。
そんな中、院長先生からこう言われました。
「妊娠しない辛さと、流産する辛さ、あなたにとってどちらの方がより辛い?」
どちらも辛い。どちらも避けたい。そんなこと選べません。
私は、涙を流しながら「妊娠しないほうが辛い」と応え、2度目の採卵へ向けて踏み出しました。

予想外の結果

採卵の日、排卵していないか最後の内診を受け、手術室に向かいます。
この日も数名採卵をされる患者さんがおられ、しばらく待って手術室に入りました。
静脈麻酔で意識が遠くなってくるのが分かります。
採卵が終わり、麻酔がストップされるとすぐに目が覚めました。
2時間ほどベットで休み、その後先生の内診があります。
私は、いくつ採卵できただろう、良好な卵子は育っていただろうか・・・と考えながら内診に向かいました。
しかし、先生から告げられた採卵結果は予想していなかった内容でした。
卵子自体は10個ほどできていたが、採卵してみたら中身が入っておらず、空の状態だった。
残念ながら、今回は受精処置できる卵子はゼロ、これは年齢による卵子の劣化と思われる。
と言われたのです。
1回目の採卵が40歳を迎えた誕生日月、2回目の採卵は40歳8か月でした。
1回目の時は28個も採卵できたのに、たった8ヶ月でそんなに劣化するものだろうか・・・

生きる目標を失う

2回目の採卵は受精処置できる卵子が一つも採れず、終わりました。
先生からは、次の月経が始まる頃に来院するように、それまでに今後の治療をどうするか考えておくようにと言われていました。
自宅に戻った後、ただただ信じられない気持ちと、これからどうしたら良いのかを冷静に考えている自分がいました。
しかし夫が帰宅し、顔を見たとたんに涙があふれて止まりませんでした。
私は卵子をつくることも出来なくなってしまった、もう妊娠できないんだ。
生きる目標がなくなったと、夫の前で号泣したことを覚えています。

不妊治療記録⑬ セカンドオピニオン 着床前診断(PGD)の決断 を読む

 WRITER
  • 廣田 左希子
  • 廣田 左希子SAKIKO HIROTA
  • 日本実務能力開発協会 認定コーチ
    資格第COY-Ⅰ-221081号
  • 上級心理カウンセラー資格
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